柏vs名古屋戦を見てみた。柏は浦和戦、甲府戦の連敗からすっきりと立ち直っていた。この試合では主力のFWフランサ、MF山根、DF古賀が抜けてたのに若手が何不足なく溌溂とプレーしてる。
マスコミ的には李忠成や菅沼のオリンピック組が目立っているチーム。でも彼らだけでなく他のメンバーも良い。皆がハードワークしてたし、なによりバランスがいい。
攻撃の時も守備の時もどんな場面でも綺麗で均等なトライアングルを作っている。名古屋も良いチームだがポジショニングでは感性のサッカーのようだった。柏のトライアングルは攻撃の時は多様なパスコースをつくりパス&ゴーを更にし易くさせているし、守備の際は均等な距離から囲い込みができるため相手のパスをインターセプトもしくはボールを引っかけることができ、こぼれ玉を保持し易くさせる。バランスがイイから無駄な走りがない。とてもスタミナ持たないだろうと思うハードワークでも90分最後まで走り切れるはその所為だろう。
左サイドの平山、右サイドの蔵川も良い。クロスの精度も良いし、抉りも良い。だから李や菅沼らセンターFWも生きる。
甲府戦では「相手のシンプルなプレーに戸惑ってた」と石崎監督が口述したらしいが、その負けさえも教訓として活かしている。
はっきりいって強敵だ。
強いし上手い。マリノスは鉈で割られる感じとすれば、柏は鋭利なナイフか。あまり切られた瞬間の感覚がないくらいな感じかな。
前回、マリノス戦で「フィジカル(=喧嘩勝負)に弱い」という弱点を全国に晒してしまった新潟。考えてみれば、もともと新潟は九州、関西方面のチームに弱かったはずだ。福岡、セレッソ、昔の神戸。いずれもフィジカルが強く、喧嘩勝負を仕掛けてくるチーム。例外はガンバだが、彼らは彼ら自身が認めているようにユース育ちが多く、おぼっちゃま気質があるらしい。でもそれでもあまりあるテクニック。それにやっぱり最後はベースに関西のフィジカルの強さがあるのだ。
今まで分かっていたのに知らない素振りをしていたフィジカル。
もうこれからはどんなチームからも喧嘩勝負を挑まれるだろうし、これから大変かも、新潟。
そう思うと今の状況で相手のシュミレーションなんか無意味だ。
今は相手がどういう欠点があるかより、自分を取り戻すことこそ重要。
例えば、J1で生き残ってるチームは3タイプに分けられると思う。
技術があるチーム、喧嘩ができるチーム、最後まで諦めないチーム。すべてが揃っていれば一番良いが、今の新潟にはそれは無理だ。
新潟は「最後まで諦めないチーム」。それしかありえない。矢吹ジョーのように倒されても倒されても亡霊のように立ち上がるチーム。やっぱ、それだろう。今までそれができていたから生き残ってきたんだ。ちょっと連勝しててお洒落なことをしすぎてたのではないか。だからこそ原点に戻って闘おう、新潟よ。
閑話休題。
こんな時こそ、萩原朔太郎の詩を読み返してみたい。
【公園の椅子】
人気なき公園の椅子にもたれて
われの思ふことはけふもまた烈しきなり。
いかなれば故郷(こきやう) のひとのわれに辛(つら)く
かなしきすももの核(たね)を噛まむとするぞ。
遠き越後の山に雪の光りて
麦もまたひとの怒りにふるへをののくか。
われを嘲けりわらふ声は野山にみち
苦しみの叫びは心臓を破裂せり。
かくばかり
つれなきものへの執着をされ。
ああ生れたる故郷の土(つち)を蹈み去れよ。
われは指にするどく研(と)げるナイフをもち
葉桜のころ
さびしき椅子に「復讐」の文字を刻みたり。
(純情小曲集より引用)
朔太郎は有名になる前に故郷の群馬で悶々としていた時期があったらしい。今でいうニートか。いくら夢を持っていたからといっても、近所の人たちは随分冷たい目で朔太郎をみてたらしい。
自分はこんなところにいる人間じゃないと思っていても、その場を与えられない。そんな時期の朔太郎の詩だ。
まあそんな人たちに比べれば、今のアルビの選手は恵まれている。
まだ次のチャンスがあるんだもの。
僕は心のどこかで、ちょっと突き放してるかもしれない。
いまこそ、一人で這い上がってこいよ、まずそれからだ。
って思ってる自分がいる。
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